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前回は関数の[ByVal(値渡し)]と[ByRef(参照渡し)]の違いについて説明しましたが、今回は関数の呼び出し方や[Private]と[Public]の違いについて説明していきます。
関数には[Private]と[Public]の二種類が存在し、それぞれ呼び出せる範囲が異なりますので、その辺の動きに気を付けながら見ていきたいと思います。
サンプルコード
[sample-08.xlsm]を開いて、中に書かれているコードを確認しましょう。
今回のコードでは、二つのモジュール[Module1]と[sample]が用意されています。[Module1]には関数を呼び出す記述が書かれており、[sample]には呼び出される側の記述が書かれています。この二つを使って[Private]と[Public]の違いを見ていきます。
このファイルをそのまま使用しても構いませんし、新しくエクセルファイルを作って、自身でコードを記載して動かしても構いません。(直接コードを書いた方が覚えやすいので、時間がある方は書く練習もしてみましょう)
'Module1側の記述----------------------------------------------
Sub main()
Dim tempNum As Integer
tempNum = 10
tempNum = sample.fncTest01(tempNum)
Debug.Print (tempNum)
End Sub
'sample側の記述----------------------------------------------
Public Function fncTest01(ByVal tempNum As Integer) As Integer
tempNum = 50
Debug.Print (tempNum)
fncTest01 = tempNum
End Function
Private Function fncTest02(ByVal tempNum As Integer) As Integer
tempNum = 100
Debug.Print (tempNum)
fncTest02 = tempNum
End Function
コードの解説 sub main()部分
‘[sample.fncTest01()]と記述することで、[sample]モジュール内の[fncTest01]を呼び出しています。
tempNum = sample.fncTest01(tempNum)
コードの解説 Public Function fncTest01()部分
‘[Public]を付けて関数[fncTest01]を宣言しています。
Public Function fncTest01(ByVal tempNum As Integer) As Integer
コードの解説 Private Function fncTest02()部分
‘[Private]を付けて関数[fncTest02]を宣言しています。
Public Function fncTest01(ByVal tempNum As Integer) As Integer
[Public]の呼び出し範囲
[Public]で宣言された関数は、どのモジュールからも呼び出し可能となります。どこからでも呼び出すことが出来ますので、共通処理を行う関数などには[Public]が有効になります。
今回のサンプルコードでは、[Module1]モジュール内の[Sub main()]から、[sample]モジュールの[fncTest01]を呼び出しています。
実際に[fncTest01]内の[Debug.Print]でブレークポイントを設定して実行して別のモジュールからも正常に呼び出せるか確認してみましょう。
実行すると、処理が[Module1]から[sample]モジュールに移っているのが確認できます。そのまま処理を実行すると、[fncTest01]関数内で処理をした値を返しているのも確認する事ができます。
この様に、[Public]で宣言した関数は別のモジュールからも呼び出せる事がわかりました。
別モジュールにある関数を呼び出す場合は「[モジュール名].[関数名]」と指定することで呼び出すことが出来ます。
[Private]の呼び出し範囲
次に[Private]を宣言した関数を別のモジュールから呼び出してみましょう。
まずは、実施前の準備として[Sub main()]関数内にある[tempNum = sample.fncTest01(tempNum)]を[tempNum = sample.fncTest02(tempNum)]と書き換えます。
これで、[sample]モジュール内の[fncTest02]関数を呼び出すという記述に変わりました。
この状態で、[fncTest02]内の[Debug.Print]でブレークポイントを設定し、実行してみましょう。下記図のようにエラーが表示されましたか?
なぜエラーが発生するかと言うと[Private]で宣言した関数は、そのモジュール内でしか呼び出すことが出来ないため、[Module1]から[fncTest02]を呼び出しても、「その様な関数名は[Module1]には無い」という事でエラーが表示されます。
※[fncTest02]をそのまま[Module1]にコピーすると、問題なく[Module1]内の[fncTest02]関数が呼び出されます。
Private:そのモジュール内でしか呼び出せない(使用できない)関数
Public:どのモジュールからも呼び出し(使用)出来る関数
最後に([Private]と[Public]の使い分け)
今回は、関数の利用範囲を決める[Private]と[Public]について説明をしました。
一見どこからでも使用できる[Public]が便利そうですが、多用しすぎると「どこからでも呼べる」が災いし、ちょっとした修正でも影響範囲が大きくなる場合があります。
それに比べ[Private]は呼び出される範囲(スコープ)が限られるため、修正が入っても影響範囲は、そのモジュール内に限られます。
モジュールの役割を明確にし、極力[Private]にて収まるように設計し、変更の少ない共通動作に関してのみ[Public]を宣言するなどして使い分けていきましょう。
[Private]と[Public]の注意点
・[Private]は修正が入っても影響範囲が限られる。
・[Public]は修正時に影響範囲が大きくなる。(どこから呼び出されているか、モジュール全てのチェックが必要)
次回は、変数から関数を呼び出す方法について説明したいと思います。
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